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執筆者の写真まほろば

衆議院文部科学委員会での宮本質問テキスト(2024.4.3)

4月3日、衆議院文部科学委員会での宮本岳志議員の質問をテキスト化したものです。


ぜひお読みください。


委員長:宮本岳志君


宮本:日本共産党の宮本岳志です。資料1を見ていただきたい。今日も奈良教育大学附属小学校の問題について聞くんですけれども、地元紙奈良新聞の3月25日付けであります。一面トップで「附属小学校の教員異動混乱の収拾見えず」と掲げ、大学側は教職員の人事交流の必要性を、と説いた。しかし、大規模な人事異動によって学校現場の混乱も予想されることから、保護者の反発の声が相次いで上がり、説明会での議論は6時間にも及んだ、と報じられております。3月31日には、奈良教育大学附属小学校の教育を守る市民集会が奈良県弁護士会館で開催され、私も現場に行ってまいりました。教育学研究者や学校の先生の発言もありましたけれども、保護者から、授業がゆっくりだと保護者も選んできているのに、何故今更問題にするのか、附小でしか息ができない子もいっぱいいる。等々ですね。次々と発言がありまして、会場は満員で熱気に溢れておりました。まず、大臣に聞くんですけれども、この附属小学校では、一年契約だった先生がめでたく教員採用試験に合格して、この春公立高校に本採用されるという事情があったり、育休に入るというこういう教員がいるなど、もともと例年になく居なくなる先生が多いということが問題になって、前からわかっておりました。これ以上、先生を出せないっていう状態だったと聞いているんですけれどもね、そこで4人も強制出向させた子供の教育が混乱すると、私は思いますけれども、そうお思いになりませんか、大臣。


盛山文部科学大臣:ええ、まあ、あの、奈良教育大学附属小学校における、まあ、この問題、まあ、前回の、まあ、文部科学委員会に引き続き、ええ、宮本先生から色々ご指摘をしておりますので、あの、ある程度の状況については、承知しているところでございます。ええ、まあ、その上でございますが、附属小学校における人事交流につきましては、大学の責任と判断により実施されるものでありますものでありますので、ええ、文部科学省としてコメントする立場にはございません。そう申し上げた上でええ、一般論としてでございますが、学校における学習活動が安定的に行われるよう。指導体制を確保しつつ、人事交流等を通じて教職員の資質能力の向上や開かれた学校運営に取り組み、よりよい教育の実現を図っていくことは有意義なことであると考えております。


宮本岳志:安定的に行われないから、保護者も説明に納得できず、6時間やりとりしても納得されないわけです。現地でうかがったら、強制出向の結果、校長、教頭、主幹という管理職全員が入れ替わるということなんですね。どの学校関係者に聞いても、こんな人事はありえない。学校が回らなくなるという声です。学校方針、教育課程、学校の重点、校内人事、持ち時間、クラス担任など、よく知ってる管理職が一人も残らなかったら、学校は本当に回らないと思いますね。私は前回3月13日の質問で、今年の1月31日に学校側が文科に、「まさかこのメンバーでこの4月を迎えるのではないでしょうね」と言われた。文科省の上層部から全員替えろと言われて、それでは運営ができないということで、何回も折衝した結果、こういうことになってしまった。と附属小学校の先生たちに大学側が説明したことを明らかにいたしました。文科省はこの事実を確認いたしましたか?


文部科学省望月総合教育政策局長:お答え申し上げます。ええ、奈良教育大学と附属小学校教員等との学校関係者との具体的なあのやり取りにつきましては、ええ、文部科学省として把握する立場にははないと思ってございますけれども、ええ先生からあの特別のご依頼ございましたので、現在が大学に対して事実確認をお願いしているところでございます。なお、あの繰り返して恐縮でございますございますけれども、文部科学省の方から大学に対して教員を全員入れ替えろと言うような事実はございません。


宮本岳志君:現場で大学側がそう説明している、ということを申し上げたんですね。音声録音データがあるんです。わたくしはそれをすべて聞かせてもらったけれども、間違いなくそう、大学側ですよ、これは文科省と大学側の録音データじゃないですよ。大学がそう説明している音声データ録音データを聞いたら、確かにそう大学は説明をしているわけですね。同席していた三木副学長が、「文科省上層部から全員替えろ」と言われたなどと説明をしておりまして、文科省は「まさかこのメンバーでこの4月を迎えるのではないでしょうね」とか全員替えろと。先ほど、そんなことはまったく言ってないということですが、確かにそんな事は一切言ってないんですか?いかがですか?望月さん。


望月局長:くり返しで恐縮でございます。まあ、昨年の10月10日に奈良教育大学より、まあ、今般の附属小学校の事態につきまして、まあそれまでの経緯、今後の対応方針についてのご説明をいただいたところでございます。まあ、その際、人事交流につきましては、あくまで一般的な例として、他の附属学校〜において、まあ多く実施されております人事交流については言及をいたしました。ええまあ、閉鎖性を打破するというようなこともございます。人事交流全体についてのことを言及したのでございまして、個々の人事についてのこちらとして大学に対して指示したものではございません。ええ、国立大学附属法人の人事につきましては。くりかえしで恐縮でございますけれども、各国立大学法人の権限と責任に基づいて行われるものでございまして、ええ、附属学校の人事交流につきまして、文部科学省が大学に対して指示をするものではございません


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宮本岳志君:困りましたね。大学側は確かに文科から言われたと語っております。文科省は言ってないと、こうおっしゃるわけですね。どちらかが嘘をついていることになります。これは重大な問題でありますけれども、大学側の説明が嘘、作り話だとしたら、その嘘や作り話の説明の上で行われた強制出向であり、これは撤回する以外にないと思います。逆に文科省がまさかこのメンバーでこの4月を迎えるのではないでしょうね、とか、全員替えろと言ったのが事実であれば、それは違法な圧力であって、局長だってそれはやれないということを認めでしょうから、これもまたそういう違法な圧力のもとで進められている強制出向は撤回以外にない。どちらにしても、今回の強制出向がすみやかに撤回する以外にないと強く申し上げておきたいと思います。では、真相はどうかと。大学側の説明の内容はきわめて具体的です。大学側を代表して語っているのは、いずれも三木達行副学長であります。文科省、この三木副学長は、2022年に国立大学法人奈良教育大学の副学長兼事務部長となる以前、2021年4月以降は文部科学省の総合調整本部の国会連絡調整官でしたね、官房長。


文部科学省井上大臣官房長:あの委員ご指摘の三木につきましては、ご指摘のとおり奈良教育大学副学長就任以前において、文部科学省文化庁総合調整本部国会連絡調整官として。国会との連絡調整等を行っております。


宮本岳志君:もう文科官僚、しかも国会連絡調整官ですね。奈良に行く前に私のところにもご挨拶がございました。私は録音データを聞きましたけれども、確かに三木さんの声ですね。生々しく文科に言われたことが出てまいります。到底作り話と思いません。三木副学長はこれ以外にも国の圧力を説明しておりますけれども、例えば昨年10月4日、附属小学校の教育課程などへの再調査についての説明の場で、文科省から、設備要求を2億円しているけれど、この問題の行く末が見えない限りは財務省と闘えない、という話をされていると、語っておられます。大学に2億円の予算が欲しければ言いなりになれなれといわんばかりの話ですけど、事実とすればですよ、こういう話をあなたがた文科省は大学にやったのですか? やったんですか、こういう話は。


望月総合教育政策局長:大変恐縮でございますけれども、あの今、委員から御指摘の点は我々承知しないところでございます。


宮本岳志君:あの2億円の予算が欲しければ、言いなりということ。2億円の設備要求、これにかかわるってことは言ったことはないんですね。高等局長でもいいですよ、ないんですか?


池田高等教育局長:今ご指摘の予算が、あの、よくわかりませんけれども、わたくしもそのようなことが、あの、申し上げたとは承知しておりません。


宮本岳志君:これもですね、私も音声データを確認いたしました。設備を2億円しているけれども、この問題の行く末が見えない限りは財務省と闘えないと言われたと。ええ?まあ、これも三木さんですけれども、語っております。昨年10月10日以降もですね。文科省は1月9日の報告書までの間に、奈良教育大とやり取りしてきた。大学側とzoomなどで協議をしてきたことを認めております。私は録音データのことに触れましたけれども、それはいずれもですね、三木副学長と大学側がそう説明しているその音声でありますから、あなた方と大学側がどういうやりとりをしたかの音声というものには触れておりません、それは。でも文書なり音声なりが残ってる。少なくともzoomでの打ち合わせ等々がやられてきたことを文科省はお認めになりました。文科省側と奈良教育大学側との附属小学校にかかる相談打ち合わせの記録を、リアル、オンライン問わず、 音声を含む資料を提出していただきたい。いいですか?望月さん。


望月総合教育政策局長:ええ、委員ご指摘のとおりの、昨年10月10日以後から、まあ、本年1月9日の奈良教育大学とのオンラインを含む打ち合わせにつきましては、まあ、現在確認中でございますけれども、関係課からの聞き取りによりますと、12月に打ち合わせがまあ実施されている、ウェブ会議の実施されている、ということを確認してございます。で、あの、その本年1月9日までのオンラインを含む打ち合わせに関しまして、ええ行政文書ファイル簿に登録されております行政文書ファイル等に保存されている文書につきまして、これまで関係課に確認してございますけれども、まあ、本日時点で該当する文書はございません。


宮本岳志君:まあ、それも聞いてるんですけれども、ぜひ手控え、メールなど徹底的に探して提出していただきたい。大学側は、前回の質問でも紹介したとおり、文科省から、自民党の文教部会でこの事態が議案に上がり、かなりのご意見ご批判を受けたと言われております。三木副学長は、自民党文部科学部会を、昨日だと語っております。説明は1月31日ですから、自民党の文部科学部会はですね、その前日1月30日だったはずであります。望月総合教育政策局長が1月30日の自民党文部科学部会に出席し、報告したことはわかっております。事実確認ですが、出席致しましたね。望月さん


望月総合教育政策局長:出席してございます


宮本岳志君:日付もぴったり。三木さんの話は確かなんですね。この日の自民党部会の様子を、ここにもおられる山田健二衆議院議員が、ネットで公開されております。資料2に付けておきました。それによれば、奈良教育大附属での不適切な教育が行われていた事案が議題となり、文科省より報告を受け、質疑意見交換が行われた、となっております。さらに下線部、国の指針に反する教育が長年にわたって行われ、結果、大人の都合で子どもたちの教育機会が奪われてしまったと、附属小学校の先生たちを、あたかも子どもの教育を奪った罪人であるかのように扱っております。三木副学長の録音データを聞くと、文科省は、昨日の自民党の文部科学部会でかなりのご意見ご批判を受けたと述べた後、政府としてもさまざまなことを回答しなければならない。第一は、子どもの回復措置をしっかりやってほしい。あわせて、人事をどう考えているのか質問が出た、こう語っております。文科省は、自民党に厳しく批判されて、全員出向という厳しい方針を大学に求めたのではありませんか?


望月総合教育政策局長:1月30日の自民党文部科学部会におきましては、ええ、私の方から、今般の奈良教育附属小学校における事案の概要、ええ〜、法令違反の疑いもあるということも含めまして、ええ、概要をご説明いたしました。また、他の国立大学附属学校への注意喚起なども含めた、文部科学省としてのその後の対応についてもご説明したところでございます。ええ、ただ、その際、あの、出席の先生方からの意見につきましては、まあ党の会議でございますので、私の方からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思ってございます。


宮本岳志君:人事についてどう考えているのかという質問は、あったかなかったかも言えませんか?


望月局長:ええ、あの、記録は何かこちらで録っているものでございません。ええ、私の方からお答えは差し控えさせていただきます。


宮本岳志君:これも食い違いますね。赤池誠章参議院議員は、自民党文部科学部会長代理でありますけれども、総合教育政策局長、赤池議員をご存知ですか?


望月局長:参議院議員の赤池議員は知ってございます。はい。


宮本岳志君:資料3はその赤池誠章参議院議員の、今年1月25日のオフィシャルブログであります。タイトルは「奈良教育大学附属小学校で法令違反。左翼の巣窟か」となっております。奈良教育大学の報告書には、不適切という言葉はあるんですけれども、法令違反とは全く言ってないですね。先ほど少し望月局長も、法令違反の疑いとは言われましたが、法令違反があったとは大学自身も言ってないです。それを誇大に法令違反と捻じ曲げて、さらに左翼の巣窟呼ばわりまでしております。そして続けてなんと書いてるか。下線部、奈良教育大学では文科省の指導のもと、子ども達に補習等の回復措置を実施するとするとともに、教員の懲罰を検討するとのことです、と書いておりますね。教員の懲罰を検討する。文科省は大学の説明通り、自民党から、人事をどう考えているのか、と圧力を受けて、懲罰を検討させているのではありませんか?


望月局長:まあ、議員の方から、あの、配布資料でございました、まあ、赤池議員のブログの内容でございますけれども。まあ、ここはあの個々の議員の発言内容については、あの文部科学省としてお答えは差し控えさせて頂きますが、あの議員の色々なご意見、我々としてはあの政策の立案に関することや、あの、いろんな大きなな案になることにつきましては、個々の先生方にもご質問を、あのええあの、ご説明をしたりですね、あるいは、それぞれの部会においてご説明をしております。そこでのあの個々の先生方のご発言というのは、あの非公開の部会でございますので、ええ、私共の方からあの、ええ、あの、つまびらかにすることはもちろん差し控えさせていただきますけれども、決してあの部会でどういった意見があったかと言うことではなく、また、あの大学、あるいは学校の方に強制的に人事等につきまして指示をしたというものではございません。


宮本岳志君:あの、食い違いがあるわけですけどね。まさに。自民党の文部科学部会に参加された方々が語っておられることと、三木副学長が言われたと語っていることは一定合致するわけですね。最終的に文科省の説明はですね、そういう強制にわたることは言ってないと。こういうことであります。赤池参議院議員は、2018年、前川喜平前事務次官が同年2月に名古屋市立中学校で講演を行ったことを問題にし、当時の自民党文部科学部会長代理の池田良孝衆議院議員とともに、名古屋市教委に、前川さんの講演を、こと細かく調査するよう圧力をかけたことが報じられた人物です。その池田議員はご承知のとおり、すでに裏金問題で逮捕されました。文科省はいったい大学側に何を話したのか、その音声、つまり大学側と文科省とのやり取りの中身ですね。圧力がなかったというのであれば、すみやかに提出することを求めたいと思います。


宮本:次に、附属小学校の教育課程が、学習指導要領どおりでなく不適切だとされた問題についてお聞きをいたします。この附属小学校の教育は、前回の私の質問に文部科学省も、非常にモデル的な良い教育をやってきたと答弁されております。現地で、先生方から、昨年9月の大学の中間調査報告では、不適切という言葉はほとんどなかったと聞きました。私はここに、その昨年9月の基礎報告書(中間)と題された文書のうち、理科の部分を持ってまいりました。大学が公表していないということを理由に、今朝の理事会で配布は差し止められたわけでありますから、私が読むしかないんですけれども、昨年9月に行った基礎報告書、現場の大学の先生がやった最初の調査報告書ではこう書いてるんですね。理科。学習指導要領に基づき適正に行っています。例えば、小学三年における、ものの体積と重さを、小学四年の、ものの温度と体積、物の温まり方、閉じ込めた空気と水、に、関連付けた指導を行っています。このことは、小学五年、六年の学習にも活かされています。このように関連付けることで、子どもたちが少しでもわかるようになる工夫をしてきています。これは新学習指導要領で特に強調されているカリキュラムマネジメントを意識した取り組みとなっています。附属小学校では、この文言が出てくる前から、すでに取り組んでいます。その他の単元でも、教育課程を俯瞰し、どの単元がどの単元と関連付けて指導を行うと効果が上がるのかを常に意識して、研究を行っています。読み上げましたが、そう書かれております。小学校三年生で扱うとされるものの重さは、形が変わっても重さが変わらないとか、体積が同じでもものによって重さが違う等、重さについての抽象的な思考が必要で、三年生では難しいとも言われているんですね。それを四年でそれに関連した単元と一緒に、子供たちが少しでもわかるように工夫した、私は大変先進的な取り組みだと。この、中間報告書で語られていることは、妥当だと思っておりますけれども、このものの重さの部分は、ですね。では、最終的に公表された奈良国立大学機構奈良教育大学の事案に係る報告書では何と書かれておりますか? 報告書で何と書かれておりますか? 報告書の六ページに出てくるじゃないですか、理科?報告書六ページ。


文部科学省望月総合教育政策局長:大変失礼いたしました。1月9日に、ええ、取りまとめられました、奈良教育大学の本事案に関する報告書、ええ、理科においてはあ、理科、あの、おお、ものの重さ、ああ、を四年で指導、というところが、年次違い(事後)。6時間程度不足。指導指導不足に関する教育における目安の時数は6時間程度の不足、というふうになってるおると


宮本岳志君:子供たちが少しでもわかるようにと、工夫してやられた事をですね、指導要領に書かれているとおりかどうかだけで判断し、不適切とする、そういう報告書になってるんですね。大臣ね、指導要領をこんな杓子定規に使うのはおかしいと私は思いますけれども、いかがですか大臣?


盛山文部科学大臣:ええ〜、宮本先生よくご案内の通り、学習指導要領は学校教育法等の法令の規定に基づいて、教育の機会均等と全国的な一定水準の維持のために、文部科学大臣が定める教育課程の大綱的な基準であります。全体として、法規としての性質を有するものであります。この点は、過去の最高裁判例において示されているものと認識しております。その上で申し上げますが、学習指導要領につきましては、その具体的な項目によっては、もとより、学校や教師の判断や裁量を広く想定しているものもあり、何が、どこまで学校や教師の裁量が認められるかについては、個別具体に判断されるものと考えております。各学校においては、学習指導要領の規定に基づいた上で、児童の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を充分考慮して、創意工夫を凝らした教育課程を編成していただきたいと考えています。


宮本岳志君:学習指導要領は一体何のためにあるのか? 子供達がよくわかるようになるためになると思うんですね。ここに「少ない字数で豊かに学ぶ授業の作り方」という本を持ってまいりました。副題は「脱カリキュラムオーバーロードへの処方箋」。カリキュラムオーバーロードとは、あれもこれも教えようと詰め込んだ結果、オーバーロード、つまり荷物の積み過ぎになった、ここからの脱却が日本でも世界で求められているということであります。この本の中で合田哲雄さん、2008年の学習指導要領改定を担当し、今、文化庁の次長をやっておられる方がですね、合田さんはこう書いております。資料5につけておきました。学習指導要領は、教育基本法や学校教育法に規定された学校教育の目的を実現するための具体的な手立てや手段を定めた大綱的基準であるため、学校や教師は学習指導要領が示したもの以外の内容を加えて指導したり、単元のまとまりを見通して特定の内容に思い切って重点を置いて指導したり、指導の順序を組み替えたりするなど、児童・生徒の実態に即した創意工夫が可能である。指導順序の組み替え、まさに先ほど附属小学校の理科の例そのでありますけれども、文科省で指導要領に関わってきた方々が、学校の現場や教師の広い裁量を認めた方が良いとまあ言ってる事実もあるわけですね。ところで大臣は灘中学灘高校の出身でありますけれども、銀の匙授業のことはご存知ですか?


盛山文部科学大臣:あの、私共の担任ではありませんでしたが、ほかの学年の担任で、まあ著名な、まあ、最後は、あの灘の教頭先生をされた橋本武先生だと思いますが、「銀の匙」を使って国語の授業をずっとされていたというのは、承知しております。


宮本岳志君:橋本武先生が灘中学で行った授業、中勘助さんの小説「銀の匙」、これですけれども、この一冊の薄い文庫本を、中学一年から中学三年まで、時に横道に逸れながら徹底して読んでいく。必要なら一ページに何日もかける。それが国語の授業のすべてだということで、やってこられた奇跡の授業という本にもなってるんですね。ええがこれですけど。灘校は、中高六年間、同じ教師が教え続けるシステムでありますから、今、大臣おっしゃったとおり、六年ごとでしかこの先生の授業が受けられない。大臣の入学年次を調べますと、大臣はこの授業を受けておられないということを、私もわかっております。奇跡の教室と言うこの本の中でですね、授業を受けたOBたちが、どんなにいい授業だったかということを語っています。資料6に付けておきました。例えば、東京大学第29代総長の濱田純一先生は、改めて素晴らしい授業だったんだなと思いますね、銀の匙で橋本先生がやってくださったのは僕らが例えば大学で原書講読をやるやり方と似ています、ゆっくりとしたペースで言葉や文章表現を丁寧に読み解いていきますよね、筋として何を言ってるかということばかりじゃなく、ある一つの言葉にこだわることで、その背後に大きく広がっている概念や感覚や考え方と繋がっていくわけです、と、述べておられます。大臣こういう授業が多くの人から奇跡の授業と高く評価されていることについては、ええ、お認めになりますね、大臣も。


盛山文部科学大臣:あのまあ、この、濱田学長。元東大総長に限らずですね、多くの人が良かったと言ってるのは承知しておりますが、ただ、まあ我々の学年を含め、その、橋本先生以外の、まあ、担任の学年ではそういった授業をしておりませんですから、あのまあ何がベストでっていうところは、ちょっと何とも答えられませんが、あの、評価されていることは承知しております。


宮本岳志君:だったら、ちょっと局長に確認しますけど、その授業も学習指導要領に照らせば、不適切であり、回復措置の対象となるんですか?


矢野初等中等教育局長:義務教育におきましては、一定の規模と妥当な内容の教育を保証する、まあ、こういう観点から、教育、あの学習指導要領が定められているわけでございます。ええ、まああの、最低限これはこなす必要があると言うものが、学習指導要領でございます。まあその上で、今のような授業をやっていただくというのは学校の判断。まあ、こういうことだと考えております。


宮本岳志君:いや、これだけやってるんですよ、この銀の匙の授業ってのは。まさか灘中学校でこの銀の匙授業を受けられた濱田純一東大総長や、この本に出てきますが日弁連第36代事務総長の海渡雄一弁護士に、回復措置が必要とはとても言えないと思いますね。橋本武先生は、国語は全ての教科の基本です、学ぶ力の背骨という信念のもと考えに考え抜いて、奇跡の授業を行ないました。教え子たちは、その授業から多くのものを受け取り、その後の人生の糧にしたんです。これも認めない硬直しきった学習指導要領は何なのか? 大綱的基準という原点に戻って、この杓子定規な運用を根本的に改めることを求めて、私の質問を終わります。


宮本議員のFacebookより




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