雑誌『教育』945号が「学習指導要領体制をのりこえる」を特集しています。
「編集後記」より抜粋します。
●子どもたちの声や発達の実情に即しながら、独自の教育課程を創造し実践してきた奈良教育大学附属小学校が、「学習指導要領通りではない」ということで攻撃された。何がどのように「不適切」なのか不明瞭なまま、言葉だけがメディアを賑わせ、強制出向という「処分」まで下された。
●この問題については、「守る会」の運動や裁判によって現在も争われているが、その余波は単に一学校だけの問題にとどまらない。子どもの実情に即して柔軟な授業実践を進めることが「不適切」とされ、処分対象にされてしまうとなると、全国各地の現場で萎縮効果が生じ、ますます息苦しい学校教育が展開されていくことになる。
●そんな抑圧的な状況に陥らないためにも、まずは「学習指導要領」とは何なのかを明らかにし、「大人の事情」に振り回されない教育実践を堅持していく必要がある。学習指導要領の話となると、「難しそう」「よくわからない」と脇に置いてしまいがちだが、奈良で起きたことは、大なり小なり各地各現場で生じている。目の前の子どもたちと過ごす教室空間を守るためにこそ、避けては通れない切実な課題である。
特集記事の中で、生源寺孝浩先生が、「子どものもののとらえ方の発達を考慮した奈良教育大附属小の理科」という論文を寄稿されています。
また、「教育情報」欄には、守る会事務局長の山﨑洋介が「奈良教育大附小を守る会奮闘記」を寄稿しています。
ぜひ、お読みください。